株式会社さつま地鶏屋

更新日:2022年06月13日

昭和53年に創業し、40年以上地元の人々から愛され続ける鶏肉専門店

ー『株式会社さつま地鶏屋』とはどのような会社ですか?

又木 広文(以下、代表) 弊社は鶏肉を専門とした加工食品の製造・販売をしております。

主力商品としましては、宮崎県で売られている“鶏の炭火焼き”です。その他、鶏肉に味付した一次加工品を販売しております。 先代が始めて、私が二代目、今は統括主任の息子が三代目になります。息子は、神奈川で食品を扱う会社に勤めていましたが、3年ほど前に帰ってきまして、今は一緒に力を合わせております。

ー精肉ではなく、加工食品なのですね。

代表 先代が養鶏から始めて、処理から販売まで行っていたのですが、生肉(なまにく)販売になりますと、どうしても価格競争になってしまいます。 そこで、他社が真似できない、自分たちで価格が決められる商品であれば生き残れるのではないかと、加工品を手掛けるようになりました。

ー数ある商品の中で、イチオシはどちらでしょう?

又木勇樹(以下、主任) 一人暮らしやカップル向けに200グラムの小さいサイズを作りました。
私も関東で一人暮らしをしていた時に、商品を送ってもらい経験があるのですが、大きいサイズですと、翌日、翌々日まで残ってしまうのです。 冷凍なので、一度解凍してしまうと早く使わなければなりません。 そこで、「解凍しやすい」「持ち運びがしやすい」「冷凍庫に入りやすい」「クーラーボックスに入りやすい」、少量パックを考えたのです。 また、アウトドアにも使えるのでは、と思いまして。

ー確かに、少量のサイズですと、外でも手軽に使えそうです。

主任 ちょうどアウトドアのブームでしたし。私はアウトドアが好きで一人で出かけることもあったのですが、その時、女性一人などのソロキャンプの方もいらっしゃいました。そこで、少人数のアウトドア向けにもなる少量パックを作ることで、色々な人に受け入れてもらえるのではと考えました。

ー主任の実体験からのアイデアが功を奏しましたね。

代表 若い人たちの考えで息子が始めたのですが、結構人気がありまして(笑)。

「田舎でもそういうのが受け入れられるんだな」と実感しました。

主任 コロナ禍で県外の家族が帰省もできず、買い物も思うように行けない。

そこで、地元から物資援助で弊社の商品を買いに来られた方が、自宅用にと購入してくださることで、少量サイズの存在が広まっていきました。

父から息子へ。それぞれの事業承継への想い

ー 息子さんが帰ってこられたことが良い刺激になっているように感じます。
他に、変わったことはありますか?

代表 我々の年代は、インターネットを使えない(笑)。ですから、息子がネット販売を手掛けてくれて、正直助かりました。

お陰で、従来のお客様も「手軽に注文できるようになった」などと言ってくださるのが、嬉しかったです。

ー 意見の衝突などはなかったのですか?

代表 息子が、少量パック用のラベルを横文字で作った時には、「横文字読める人いるの?」と、思っていたんですけど(笑)。

意外とお客様から「かっこいい」と評判が良かったんですよね。 息子が三代目を継いでいくのですから、息子の好きなようにやらせてみようと思っています。

ー 三代目を継ぐことに迷いは無かったのでしょうか?

主任 小さい頃から食べてきた弊社のレシピは、家族しか知りません。これを自分が継がなければ、お客様からも「おいしい」と評判のこの味がなくなってしまうのです。ずっと食べていきたいですし、子どもにも食べさせてあげたいから、この味を残したいと思いました。 そして、いろいろな資格を取れる大学を選び、一度(他社で)修行した上で帰ってきた方が、会社のためになると思ったのです。大学くらいから父と話をして、継ぐと決断しました。

ー 「継ぐ」と言われた時、どんなお気持ちでしたか?

代表 息子には「継がないなら継がないで良い。お前の好きな道を歩きなさい」と言っていました。 ただ、まあ……心の中では期待感はあったんですけど(笑)。 本人が、継ぐと決めて帰ってきたわけですから、「俺の時代は終わりかな。息子に好きなようにやらせてみよう」という考えでいます。

地域と一緒に成長したい。親子で描く地元の未来とは

ー 都会を離れて、地元に戻る時、心は揺らぎませんでしたか?

主任 地元に魅力を感じていたのでしょうね。関東に10年は住んでいたのですが、やっぱりこっちの方が良いかなって。 中高時代、家の手伝いをしていた時に意見を交わしあうのが楽しかった、という思い出もあったのだと思います。 私は祖母も好きですし、一緒にいたい気持ちがありました。 それに、今の時代、関東に行こうと思えばいつでも行けますし。

代表 地区の人たちにも「勇樹君、帰ってきて良かったね」など声をかけてもらいます。

主任 よく配達について行っていたので「あんな小さかった子が、こんなに大きくなって」と言われたり。昔ながらの関係をそのまま持ってこられるのが魅力なんですかね。 移住した人に対しても皆優しいので、近くに住んでいたら助けてくれますし。

ー 田舎ならではの人の温かさがうかがえます。環境の変化についてはいかがでしたか?

主任 関東の方がいろいろなものがあるので過ごしやすいというのはありますが、高原町だったらアウトドアするのにそれほど周りを気にせず庭でできるんですよ。
買い物に関しても、通販サイトで済みます。 生活する上で、そんなに変わりはないと思っています。

ー では、職場の環境づくりで気を付けていることはありますか?

主任 子育て世代や若い人のためにも、休日数を多くして、時間帯の融通が利くようにいろいろな工夫をしています。また、正社員としての雇用もしています。 定年や体調などの自己都合で辞められても、商品を買いに来られる方が多いのは、前の代からフレンドリーな職場づくりをしてくれているからです。そこは変わらず続けていき、安全面や法律の変更など、そして、子育て支援などにしっかりと取り組んでいき、もっと働きやすい職場にしていこうと考えています。

ー これからどのような会社にしていきたいですか?

主任 高原町内の企業や福祉関係の各所と、一緒に成長していける会社にしていきたいです。 例えば、ふるさと納税の返礼品に、弊社商品と町内の福祉施設の方が作ってくれた炭をバーベキューセットとして提供しています。 また、今目指しているのは、もっと移住者を増やし、一緒に会社を盛り上げ、町内も盛り上げていける会社にしていきたいと考えています。

ー 最後にお二人にとって「働く」とは?

代表 家族があるから、一生懸命働く。自分たちが生活をするために働く。それは我々も従業員も一緒です。 従業員には「人のために働いてもらう必要はない。自分のために働け」といつも言っています。

主任 従業員を養う。従業員のためにも会社を続けていかなければなりませんが、今のままではダメなので、「今後の時代に乗るための変化をもたらす」ために、自分は働いているのかな、と思います。


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