すき酒造株式会社

更新日:2022年06月13日

すき酒造株式会社 代表取締役 兒玉 昇 氏

須木の地で脈々と受け継がれる魅惑の焼酎。小仕込みの甕が醸す、個性豊かなその味わい

―歴史ある酒蔵をお持ちの会社です。まず、事業の概要を教えてください。

焼酎を製造している酒造会社です。

創業が明治43年で、110年以上この小林市須木の地で焼酎を造っています。

農家さんからお米と芋、麦、そして、栗を仕入れて、それぞれ「芋焼酎」「麦焼酎」「栗焼酎」を造ります。杜氏の腕が多彩なものですから、商品はかなりいろいろなタイプの焼酎があり、メインで販売しているものだけで20種類ほど、専用の焼酎などを含めるともっとあります。

―焼酎の種類も商品の数も豊富ですね! 酒蔵の特徴はどんなところですか?

現在、仕込み用の甕が47個あるのですが、大部分が創業当時から引き継いでいるもので、それを使って焼酎造りをしていることが大きな特徴の一つです。もう一つは、専業の杜氏が造っているというところです。昨今、焼酎用の杜氏が減って酒造会社も機械化が進み、工場長という役職が杜氏の役割を担うことが増えてきましたが、弊社では昔から受け継がれてきた技術を持つ杜氏が、焼酎造りの大きな柱となっています。

―機械化が進んだ工場に比べて、杜氏による焼酎造りをする魅力はどんなところですか?

大手の酒造会社が造る焼酎は、おいしさはもちろん、いつでも同じ品質のものをお客様に届けるという、味の「均一化」が求められます。対して弊社は「小仕込み」になりますので、杜氏が芋の取れ具合や米の出来具合、気候などを勘案して、その年の条件に合わせて造るというやり方です。ワインのビンテージと同じで、その年その年で味わいが少しずつ変化します。それも、良い変化を目指して造ることができるというところが杜氏による焼酎造りの魅力です。

―その年ごとに味わいが変化するのですね。毎年飲んでみたいです!

弊社の焼酎は、芯がしっかりとして一本筋が通った味わいなので、結構コアなファンがつきやすいのです。一度好きになっていただいたら、かなりヘビーに愛飲してくださる方が多いですよ(笑)。

どうぞ、毎年飲み比べてみてください。

―数ある中からお気に入りを選ぶ楽しさも、飲み比べの楽しみもありますね。代表銘柄は、どの焼酎ですか?

『須木焼酎』という銘柄です。

令和3年の『熊本国税局鑑評会』で優等賞を受賞し、品質には自信を持っている商品です。ありがたいことに、たくさんの方に飲んでいただけるようになりました。

一般的に県外で飲まれている焼酎はアルコール度数が25度なので、20度のこの商品は宮崎県内で流通させる商品として位置付けています。

―「栗」を使った焼酎もあるとのことですが。

須木が栗の名産地なので、地場の特産品を使って焼酎を造ろうということになり、試行錯誤の末にできた商品が『栗極(くりきわみ)』です。栗

の焼酎を造っている会社は全国でも数少ないですね。通常、「栗焼酎」と名を冠するには、栗を原料全体の内3割使うことになっているのですが、弊社では5割と、より贅沢に使っています。

原料の値段が高く、大量には造れないので、限定数での販売としています。

飲む人に造る人。焼酎をこよなく愛す人々と、共につくっていきたい100年先の未来

―兒玉社長が『すき酒造』で働くようになった経緯を教えてください。

『すき酒造』は、明治43年に田中宗三郎さんという方が立ち上げました。

元々、私は小林市内にあった『株式会社コダマ』という総合卸問屋で働いていて、『すき酒造』はその仕入れ先でした。

平成9年頃、なかなか焼酎の販路が広がらず売れ行きも低調だったので、『コダマ』に融資買収される形で『すき酒造』が存続することになりました。

それから私が弊社に携わるようになって、そのままこちらで仕事をするようになったという経緯です。

―地域の会社によって、貴重な酒蔵が守られたのですね。地域に向けてはどのような思いがありますか?

そうですね。酒造業者は「酒税」という形で国に税金を払いますが、その「酒税」は、支払った内の半分が酒蔵のある自治体に「地方交付税」として返ってくる仕組みになっています。

弊社の焼酎の知名度が上がり、たくさんの方に飲んでいただければ、それだけ小林市の「地方交付税」が増え、地域に還元できるということです。

今後ともおいしい焼酎を造って、小林市の財源を増やす一助となればと思っています。

―地元の焼酎を酌み交わす豊かな時間が、地域への還元にもつながるのですね。では、これからの展望などお聞かせください。

杜氏を中心として、こだわり抜いた商品を提供していきたいです。時代ごとにいろいろな流行が生まれると思いますが、やはり「焼酎というのはこういうものなのだ」という、ぶれない対称軸を持った蔵元であり続けたいと思います。10年ほど前に、総甕壺仕込みが行える焼酎蔵を新築しました。これまで先人が受け継いできた100年以上の焼酎造りをこれからもしっかりと守り、またそれ以上の焼酎造りができるよう、「この先100年」を目指していきたいと思います。

―100年先を見据える焼酎造り、これからも楽しみです。

須木も人口がどんどん減っているので、弊社の知名度が上がって、「須木ってどんなところだろう?」というように、一人でも多くの方に須木の地に興味を持っていただけるきっかけになればとも思っています。

―須木全体がさらに活気づくことを期待します。それでは最後に、兒玉社長にとって「働く」とは?

おいしい焼酎を造って、お客様に「あぁ、おいしい」と楽しい時間を過ごしていただくことが私共としては一番嬉しいので、「お客様のために」というところでしょうか。私共の存在意義というのは、お客様に「おいしい」と思っていただいてこそ成り立つものだと思っています。そのために毎日、働いています。


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総合政策部 地方創生課

〒886-8501
宮崎県小林市細野300番地 小林市役所 本館3階

電話番号:0984-23-1148
ファックス:0984-23-6650
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