グリーンシティこばやし株式会社

更新日:2022年06月13日

グリーンシティこばやし株式会社 代表取締役 前田 喜輝 氏

地域経済を動かす大きなヒント。使えば使うほど「まち」に還る、新電力の仕組みとは

―小林市も出資する新電力会社です。まず電力の小売り事業についてお伺いします。

2016年に電気の小売り事業が自由化されました。

今までは、九州電力など大手の10社ほどが寡占していたのですが、どの企業でも小売りに参入できるようになったのです。発電事業の日本における電力エネルギーは、原子力、太陽光、風力といろいろありますが、使用する電気としては全く同じものです。

例えば、使っている会社が、グリーンシティこばやし、九州電力、また別の新電力会社であっても皆さん同じ「電気」を使っているのです。

―「電気」の購入先を、消費者が選べるようになったというわけですね。では、自治体が出資する新電力会社が作られた経緯を教えてください。

当初は、市が100%出資をして水素事業に取り組むために立ち上げた会社です。

しかし、水素は製造にも運搬にも課題が多くありました。そこで、この会社を活用するため、地域内での経済循環の可能性を探り、着目したのが電気の小売り事業です。

この地域の電気料金は、ほとんどが九州電力に支払われていますが、それが年間数十億と言われています。

そのお金がこの地域で使われれば、経済循環や雇用の創出につながるのではないかと、「電気の地産地消」という概念で運営していくことになりました。

―同じ「電気」でも、料金がどこに支払われるかによって地域への影響が変わるのですね。

弊社の益金は全て市や市の事業に還元することにしています。

2020年度は、これを寄付として、市内を走るコミュニティバスを2台、小林市に贈りました。バスの車体には、コミュニティバスの利用促進を図りたいという思いと、弊社の電気の利用がこのように地域への還元につながることをPRしたいという思いを込めて、弊社の通称『こばでん』の文字を広告として入れていただいています。

―地域内の経済循環が、市民の目に見える形で表れるのですね。

今後も電気事業で収益が上がれば、それは全て市の事業に還元していく予定です。

現在の試案として、「年間使用量に応じて、料金の一部を市内のお店で使えるクーポン券として割戻し、買い物に利用してもらい、更に経済を循環させていく」というものがあります。

―電気の利用者にも地域の事業者にも、両方にとってうれしいアイデアですね。

そうですね。

しかし、ある程度利用者が増えないとサービスの実現は難しいのです。

弊社はまず、市の公共施設と契約し、そして市内の事業者へと徐々に広げていますが、まだ一般家庭との契約数はわずかです。

私共の思いを伝えるには、直接お客様とお会いして対面で話をしていかなければなりませんが、戸別訪問にはさまざまな壁もあり、なかなか思うようにはいかず、まだ案として温めている段階です。

―たくさんの方にこの仕組みや思いが伝わると良いですね。

やはり従来の料金との相対的な安さを実感していただけないと、こちらとしても提案ができないのです。

現在、一般家庭の試算で、3~5%しか安くならないので、メリットを感じないという方とはなかなか契約に至りません。「本当に市のためになるのだ」という私共の思いは届きにくく、まだ輪が広がっていないというのが現状です。

一人一人の力で明日の小林を。「電気の地産地消」がもたらす、本当に住みやすいまちづくり

―これからの電力事業で大切になることは何ですか?

東日本大震災による原発問題もあり、国は原発を増やさずに二酸化炭素の排出量を抑えていくため、現在大きな割合を占めている「火力」発電を、「太陽光」、「風力」、「水力」発電などの再生可能エネルギーにシフトしていく方針です。

しかし、例えば、「太陽光」の場合、発電するのは昼間だけですので、蓄電池がセットでないと効果が上がりません。

弊社は、この蓄電池と太陽光発電システムをセットにして広め、ゆくゆくは「発電所」と「消費者」がこの小林の地域内で完結するという構想を思い描いています。

―まさに「電気の地産地消」ということですね!

大きな夢ではありますが、それができれば「災害に強く、安心安全なまち」ということが自信を持ってうたえるようになるのではと思います。

―電力事業も「まちづくり」につながるのですね。

小林市は『協働のまちづくり』を提唱していますね。

自分の時間やお金など、それぞれの人が持っているものを集めて地域を円滑に回すことが『協働のまちづくり』だと、私は思います。

「みんなのためにどうすれば良いか」

「自分にできることは何か」

という視点を常に持ってまちづくりができれば、とても住みやすいまちになると思います。

―従業員にもそのような視点が求められますか?

もちろんそうですが、これから働く方には弊社が「自分磨きができる職場」であることを伝えたいです。

「小林市にどれだけ貢献ができるか」や、「市民のために」という高い理想も大切ですが、お客様を訪問し、事業の素晴らしさや市への貢献について説明し、やり取りをする中で、自分自身が磨かれていくことを実感します。

お客様に喜ばれて成長していきたいという方は、ぜひ一緒に働ければ良いなと思います。

―それでは最後に、「働く」とは?

人から「なくてはならない存在」だと認めてもらえることは、大きなモチベーションになり、生きがいになり、そして働きがいになります。

「人のために」、「何かのために」とよく言いますが、結局は「自分のため」だと思います。それを突き詰めていくと家族のためになり、そして地域のためになるのではないでしょうか。

私は、仕事を「働きがいや生きがいに昇華させていくこと」が、日々の修養だと思っています。

つらいことがあっても、自分を奮い立たせる成功体験を持っていれば、それが明日への活力につながります。

「今、自分は何のためにやっているのか」、「自分は本当に素直に生きているか」と自問自答しながら、良いところは褒め、悪いと思ったら謝る。

自分と相手の良い点、悪い点を素直にやり取りできる心の持ちようが、「働く」ためには大事だと思います。


この記事に関するお問い合わせ先

総合政策部 地方創生課

〒886-8501
宮崎県小林市細野300番地 小林市役所 本館3階

電話番号:0984-23-1148
ファックス:0984-23-6650
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