大門サイクル商会

更新日:2022年06月13日

大門サイクル商会 代表 大門 哲也 氏

時には賑やかなお茶飲み場。人と地域をこよなく愛す、まちの自転車屋さん

―事業の内容を教えてください。

バイクや自転車、シニアカーの販売と、その修理や整備などのメンテナンスが主な事業です。自転車も、子ども用から電動自転車まで幅広く取り扱っています。

―創業からどのくらいですか?

創業70年です。祖父が事業を始めて、父が二代目、そして私が三代目で事業承継すると同時に、今の場所にお店をオープンしました。

―70年ですか!長く続く秘訣は?

『地域に根差した店』でありたいと思っています。いろいろな人に自転車やオートバイの楽しみを伝えたり、生活に自転車がなくてはならないお客様の困りごとに応えることを大切にしています。レース活動に力を入れているなどの何かに長けている店ではなく、地域の人が気軽に立ち寄れるお店づくりを心がけています。

―自転車やバイクの魅力はどのようなところですか?

乗る楽しみはもちろん、見たり、触ったり、また、バイクや自転車を通じて出会った人たちとつながり、そこから派生する楽しみなどが魅力だと思います。

2021年4月に『全日本トライアル選手権』という、オートバイ競技の全国大会がえびの市の矢岳高原で開催されました。

私も実行委員として6年くらい前から誘致活動に参加していましたが、実は当店で競技用のバイクは扱っておらず、私自身も乗らないのです。しかし、参加してみると、新たな出会いが生まれ、そこでできた仲間と「マウンテンバイクで走ろう!」などと派生するのが楽しいのです。

『地域のために』。つないだ縁は巡り巡って自分の元へ

―事業を引き継いだきっかけは?

勝手な使命感、でしょうか(笑)。学校を卒業後、自動車のディーラーに就職しました。親から「継げ」と言われるでも、「店を継いで、こうするんだ」という意志があったわけでもなかったのですが、自分の行く先を考え、いろいろな話を聞いていると、『次世代へ』、『モノ売りからコト売りへ』といった言葉が心に刺さりました。自転車店がどんどんなくなっているこの地域の10年後を見据えたとき、「ウチがなくなったら、自転車が壊れたときにどうしたらいいの?」という思いが「この店を、地域に残したい」という使命感に変わりました。

―『地域に根差した店』への思いはここから始まったのですね。

店を残そうと決めたら、今までにない思いが湧き上がってきました。「わが子が魅力を感じるような店づくりをすれば、地域の方にも魅力的な店になる」と。そこから、店づくりに必要なことが見えてきて「自分の店としてやっていくのだ」という思いが強くなったのです。

―地域活動にも積極的に参加されているそうですね。

父から「地元で商売をするなら地域のことにも関わらないと」と言われ、最初は、ボランティアのつもりで参加しました。父がさまざまな団体で地域活動をしていた縁もあり、消防団や商工会青年部、花火大会の実行委員会などいろいろなところから声をかけていただきました。

―地域活動と仕事、両立は大変ではないですか?

一つ一つの活動を通じて少しずつ地域とつながって「地域に生かされている」という、とても大切なことに気付きました。ボランティア活動が商売に直結するのではなく、巡り巡って最終的に自分の商売に関わってきます。地域の力がないと私の仕事は成り立たないと気付いた今は、地域を盛り上げることが生活の一環となっています。

―「将来の夢」などありますか?

祖父の代からのお客様が「おじいちゃんにもお世話になったのよ」とお孫さんを連れて来てくださったりします。こちらも代々、地域でお世話になってきたので、自分の代で終わらせるわけにはいかないという思いはあります。私は書いた記憶が全くないのですが、小学校4年生の時に「僕は大門サイクル商会を継いで、国道沿いに店を出すことが夢です」と書いた作文があるのです。

―「子どもの頃の夢」がこのお店なのですね!

思えばその頃、父のツーリングについて行ったり、マウンテンバイクのレースに行ったり、楽しい思いをしていたのです。親が楽しそうにしているのを間近で見て、自然とそう思うようになったのでしょう。ですから、もし息子が「大門サイクル商会を継ぎたい」、「店をこうしたい」と言ってくれたら、きっと子どもにも魅力的に映る『地域に根差した店』になっているということだと思います。

そのような、「子どもが『継ぎたい』と思うようなお店を作ること」が、今の夢ですね。

仕事もしっかり、休みもしっかり。お客様も従業員も共に心地よいお店づくり

―従業員との関わりはいかがですか?

「自分は社長だから君たちが働いてくれ」というのは性に合いません。ですから、同じ目線でやっていける、家族のような感覚でお付き合いしているつもりです。スタッフの奥さんや子どもさんも大切にしようと心がけています。仕事中、少し手が空くと冗談ばかり言い合って、仲良く楽しくやっています。と、私は思っています(笑)。「従業員」というより、「仲間」というか、本当に良い人に巡り合えました。

―「仲間」、良いですね。

当店は、所用以外でも、ただお茶飲みにふらりと立ち寄ってくださるお客様が結構いらっしゃるのです。スタッフもそういう方と馴染んでいろいろな話をしたりするので、人と接することが働きがいというか、楽しみにもなっているのかなと思います。

―アットホームなお店ですね。

当店で扱っている商品は、いわば人の命を預かる物。ですから、仕事はもちろん真面目にしっかり行いますが、それ以外の部分では心地よくありたいのです。消防団の活動が急に入ったり、子どもの用事ができたりしたら、スタッフが「休んでもいいですか?」と言いやすい、また、こちらも「遠慮なく休んで」と言える関係、そういうところがスタッフにとっては働きやすい環境なのではと思っています。

―最後に、代表にとって「働く」とは?

「地域で生きるということ」ではないでしょうか。ただ仕事をするだけでなく、「地域の活動に参加して、地域を盛り上げて、地域に根差した商売をして、生かしていただく」、それが「働く」ということなのではと思います。20代前半で帰ってきた頃には、そのようなことは考えてもいませんでした。ただ単に作業をして、商品を売ってという毎日でしたが、たくさんの人たちとお付き合いをするうちに、地域に生かされているということを実感しました。地域が元気だから、商売もうまく回る、そうして巡り巡っていくのだと思います。


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