よしたに産業

更新日:2022年06月13日

よしたに産業 代表 吉谷 光郎 氏

社会の変化を見極めながら、『体の不自由』に寄り添う商品づくり

―どのようなお仕事をされているのでしょうか?

介護や医療用品の開発から製造販売までを行っています。

以前はリハビリシューズなどを施設や病院に出向いて販売していたのですが、現在はカタログ販売になっています。介護用品を掲載しているカタログを出している大手が4社あるのですが、そこに掲載していただいているので、全国の介護ショップや関係機関から注文が来ます。

―メインの商品は何ですか?

介護用移乗マット『リーフ』という製品を3年ほど前から開発して製造販売しています。「布担架」ともいう、メッシュ構造の合成繊維でできたマットで、持ち手がたくさんついていて複数の人で運べるので、担架として緊急時や災害時に使えます。

水にも強く、自宅や施設での入浴介助にも対応できます。

―コンパクトで持ち運びや収納にも便利な、多くの場所で活用できる画期的な商品ですね。

その他には、片麻痺(へんまひ)の人専用の歩行器も作っています。宮崎県と県内の医療・介護機関が、世界初の片手で操作できる歩行器を共同開発し、平成20年度に特許を取得しました。弊社がそれを製品化して販売しています。

あとは、オーダーメードで作るインソールを作っています。歩くとリハビリ効果のある靴の中敷きです。

―既存の製品の困りごとに着目した商品作りをされているのですね。創業のきっかけを教えてください。

最初は、岡山県で靴の製造業を始めました。昭和35年ごろ小林に来て今に至ります。

1970年代のオイルショックをきっかけに、日本のメーカーがこぞって海外に製造拠点を移し始めました。そこで見たのは「たくさん儲かるのは親会社、損するときは子会社」という、理不尽な状況でした。

こうなったら自分でブランディングをして、価格もすべてコントロールできる立場にならないと将来はないのではないかと思ったのです。

そこで、同じ靴製造業界でも大手がやっていない介護用シューズを作ろうと、それが始まりでした。

―元々は介護用品を扱う会社ではなかったのですね。そこからどう展開されたのでしょう?

最初にメインで扱っていた介護用リハビリシューズは、30年ほど自社工場で製造していました。小林を始めとする宮崎県内、そして、鹿児島県に6ヵ所くらいの工場を作りまして、社員も一時期は500~600人ほどいましたね。

それから時勢を見て、10年ほど前に中国で自社ブランドを立ち上げて、製造、輸入する形に切り替えました。

―現在は、シューズからその他の介護用品にまで商品の幅を広げていらっしゃいますね。その背景に何があったのでしょう?

1990年代の終わりから2000年代初めにかけて、介護を取り巻く環境がどんどん変わっていったのです。

介護保険制度が施行され、施設だけでなく、在宅での介護にもケアマネージャーや看護師、ホームヘルパーなどさまざまな立場の人が関わるようになり、介護用品にもよりきめ細かな機能が求められるようになりました。

―そういった環境の変化に臨機応変に対応されたということですね。

介護用リハビリシューズに始まり、縫製のノウハウを活かして、介護用移乗マット『リーフ』などの商品を開発するに至りました。

県の誘致で設立した『吉谷工業』の高崎工場を平成12年に増設したのが最後で、その6年後、ちょうど借入が終わったタイミングで景気が悪くなりまして。そこで切り替えて、あまり大きなことはせずに、少しだけ……と思っていたのですが、少しでは済まなくなって、今に至っています(笑)。

『世のため、人のため』になるには、まず自分を大事に

―働く上で大切にされている理念などありますか?

理念というより、私は「勉強すること」が大事だと思います。人の話を聞く耳を持つこと、学ぶこと、ですね。いろいろな業種の人と協力してやっていかないと、自分の技術だけではモノ作りはできません。例えば、弊社はカタログ販売をしていますので、カタログを作成する会社や販売店など、その運営から商品の取引までたくさんの人と関わり、一緒にやっていかないといけません。

―事業に関わるたくさんの人のために日々勉強されているのですね。

あれこれ言いましたが、自分のためだと思います。「人のため」、「社会のため」、「社会貢献」などと言いますが、結局は自分のためだと思いますよ。自分が幸せになるための手段。お金も、目的ではなくて手段。ですから、自分を大事にすることが、結果として周りのためにもなるのではないでしょうか。

―では改めて、吉谷社長にとって『働く』とは?

「人が、動く」。字の通りでしょう、働くというのは。要するに、考えたことをすぐ実行する、ということです。「知恵がある人は知恵を出す」、「知恵がない人は体を動かす」。とにかく自分ができることをするということですね。成功する人は、実行する人です。何だかんだと理由をつけて動かない人に、成功はありません。

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

せっかくたくさんのお客様がいて、自信を持って販売できる商品もあるので、次の世代に事業を引き継ぐことが今の課題です。継いでもらえるようにしっかり整理することが大事ですので、もうひと踏ん張りしようと思っています。


この記事に関するお問い合わせ先

総合政策部 地方創生課

〒886-8501
宮崎県小林市細野300番地 小林市役所 本館3階

電話番号:0984-23-1148
ファックス:0984-23-6650
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