有限会社 南海服装

更新日:2022年06月13日

南海服装 代表取締役 花本 大介 氏

小さな町の工場から華やかな世界へ送り出す、こだわりの逸品

―事業の内容を教えてください。

洋服を作る工場の経営です。東京、大阪、福岡のアパレルからパターンと材料を預かり、それを縫製し、製品にして納めています。

―創業はいつ頃ですか?

1977年に、父が広島県で創業しました。小林市では誘致企業として2013年に操業を始めたのですが、こちらでやっていくのも良いのではないかと、2018年に広島の工場を整理しました。そして、小林に拠点を移し、小林の企業として経営していくことにしました。

―海外で大量生産する工場が多い中、大きな決断ですね。

元々、中国の企業ともずっと仕事をしていたので、あちらに行く選択肢もあったのですが、弊社のような小規模な企業では立ち向かっていけないだろうと思いました。逆に「日本で作っていく方が良いのかな」と、逆張りとでも言いますか、あえて国内生産に力を入れようとしていたところに、ご縁があって小林に来ることになりました。

―小林に移住してみてどうですか?

この年齢で見知らぬ土地に来ると、仕事の面でも、プライベートの面でも、一からの交流は難しいと思っていたのですが、今ではいろいろな話ができる人が増えて、「一人じゃないな」と感じています。

誘致の段階から市役所の方がとてもよく面倒を見てくれたのですよ。

取引先も地元の企業ではないので、こちらの人となかなか接する機会がない中、市の方がいろいろ相談に乗ってくれたり、アドバイスをしてくれたり、親身になってくださいました。今でもそうですね。

正しく、美しく。着る人の心にも喜びを纏う服作り

―服作りで大事にしているのはどのようなところですか?

とにかく真面目に製品を作ることですよね(笑)。

とは言え、取引先から注文されたことをうのみにすると、材料にロスが生まれることもあるので、そこは折衝しながらになりますが。やっぱり「喜んでもらえる製品を作りたい」という気持ちが強いので、従業員には意識を高くしてやってもらっているし、これからもそうしていきたいと思っています。

―たくさんの職人さんを束ねるのも大変だと思います。

「まっすぐ縫う」、「角をしっかり90度で縫う」。言うのは簡単ですが、これがとても大変です。1枚ならできるかもしれませんが、100枚を100枚全部同じにやるというのは相当難しいことです。国産にこだわる会社はそれだけ要求のレベルも高いですから、それに応えていかないと日本ではやっていけません。そして「モノづくり」というのは嘘をつかないので、製品が良ければ仕事が来るし、悪ければ去っていく、そういう世界です。

―厳しい世界ですね。社長自らが現場へのこだわりをお持ちと伺いました。

展示会やコレクションなどのサンプルのチェックは全部します。寸法も測りますし、製品の縫製に入る前に作る試作品、それから納品の前段階でアパレルに確認用として送るサンプルのチェック、そこだけは全部やっていますね。本当に「洋服を縫う」というのは嘘をつかないんですよね。まっすぐに縫ってある製品はアイロンのかかりも良く、出来上がりが美しいのです。そうでないものは、やっぱり美しくありません。ですから、製品の「入り口(作る前)」と「出口(納品時)」のところは全てしっかり見ています。

確かな技術で、信頼できる製品を作り続けること

―これからのビジョンなどお聞かせください。

「日本一のパンツ工場になろう」と思っています。「ミシン」、「糸」、「針」があり、そして何より「縫える人」がいるというベースを武器に、常に一歩前に踏み出していきたいと思います。まずは、アパレルさんと協力して相談しあいながら、お客様にとって良い商品ができることが一番だと思います。アパレルさんから「もう少し良くなりませんか?」と言われたら、「やってみましょう」と言える、逆にこちらから「こうしたらどうでしょう?」と提案すると、「良いですね、そうしましょう」といったやりとりができる関係が良いですし、そんな会社になりたいですね。

―コロナ禍での経営をどう受け止めていらっしゃいますか?

洋服を買うことが二の次になってしまう風潮もあり、確かに苦戦はしています。しかし、海外ではなく日本で製品を作ることを信条にしている会社というのは、なくならないと思います。今まで以上にそういう会社と仕事をしていければ、継続できるのではないかと思っています。

―従業員の働く環境について、何か工夫されていますか?

年に2回、従業員と面談を行っています。その中で「『あそこが壊れた』、『機械が使いにくい』など、業務に差し障ることは普段からどんどん言ってください」と伝えています。そういうところから風通しを良くしようと思っています。業務中はなかなかコミュニケーションが取れませんからね。一生懸命仕事をしている時に、話しかけるわけにもいかないですし。ですから、面談の時は、仕事の話も、仕事以外の話も、愚痴でも、何でも話してもらいます。

愚痴を言ってもらって会社が良くなるなら、私はどんどん聞きます(笑)。それも仕事です。

―服作り未経験でも入社できますか?

服作りの勉強をしたことのない若い従業員もいますよ。機械が仕事をするのではなく、人間が機械を使う仕事なわけですから、感覚や感性も磨かなければなりません。お客様が満足できる製品を、最初から最後まで1人で作れるようになるには3、4年かかると思います。ただ、一旦身に付けると、歳を重ねてもずっとやっていける仕事なので、言わば一生ものの技術です。ベテラン職人の隣にテーブルをつけて、新人を指導してもらうこともあります。それも、面談の場でできるかどうかの確認をして、お願いしていますね。

―最後に、「働く」とは?

『人(にんべん)』に『動く』と書いて「働く」。より良く動けば、会社もより良くなります。精度の高い仕事をするために、体を動かしつつ頭も動かさなければなりません。稼ぐお金の量は、その結果として出るのではないでしょうか。


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総合政策部 地方創生課

〒886-8501
宮崎県小林市細野300番地 小林市役所 本館3階

電話番号:0984-23-1148
ファックス:0984-23-6650
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