風の丘ガーデン

更新日:2022年12月13日

風の丘ガーデン 澁田 真一 氏

人々が集う、にぎわいの庭。花と緑とたくさんの笑い声と

―名前の通り、清々しい風が吹き渡る大きな庭のあるお花屋さんですね。

花や植物の販売、そして、併設している『澁田園芸』のビニールハウスで植物の生産と、生産から販売まで一貫して行っています。また、オープンガーデン、寄せ植え教室などを行っています。

―お店の特徴を教えてください。

一般的に、花を買う時はお店に陳列しているものを手に取りますが、ここにはオープンガーデンがあるので、その植物のパフォーマンスを実際に見ながら選ぶことができます。今、力を入れているのはインターネット販売ですかね。一番の主力商品である「寄せ植え」は、ふるさと納税の返礼品として年間200件程の受注があります。今後は全国的に販路を広げたいと思っています。

―「寄せ植え」は、教えてもらうこともできるのですか?

はい、店舗横のスペースで寄せ植え教室を開いています。そちらはオープンスペースになっていて、他にも、外部の方にパッチワークやレザークラフトなど、いろいろなカルチャー教室に使っていただいています。金曜日と土曜日はランチもやっているので、週末はワイワイ賑やかですよ。

―創業はいつ頃ですか?

まずは花の生産拠点を作ろうと、1996年に『澁田園芸』を始めました。

父が、母と一緒に自分たちの庭を作ったり、栽培した花を販売したいという構想をずっと持っていたみたいです。

10年くらい前から寄せ植え教室をしていて、生産と販売、教室やイベントなどを一度にできる場所を作りたいということで、私が帰郷するタイミングで『風の丘ガーデン』を始めました。

―家族の思いが形になったのですね。

「人と人をつなぐ拠点を作り、そこで何か面白いことができたら」という私と、「寄せ植え教室をもっと広めたり、自分の庭を持ちたい」という父で、同じ船に乗って進み始めました。

自分たちのアイデアを形にするための土壌作りから始めた、という感じです。

真摯に、そしていきいきと。植物が生み出す未来への活力

―帰郷前はどんなお仕事をされていたのですか? 帰郷されてからは?

以前は、愛知でIT関係の仕事をしていて、一日中パソコンと向かい合う日々でした。東日本大震災の少し前に新燃岳が噴火して、「故郷で何かできることはないだろうか」と思い始めたのが帰郷のきっかけです。

当初は家業を継ぐつもりはなかったのですが、「やってみようかな」という気持ちになり、そこから種苗メーカーで一年間修業し、結婚などを経て、今に至りますね。

―小林で暮らしていて、何か感じることはありますか?

帰郷した頃、楽しめる場所が少なかったのです。しかし、外から見ると、小林は良いところやおいしいものがたくさんあるので、そういったものを発信していきたいと思っていました。最近、若い人が徐々に戻ってきて「地元をもっと楽しもう」、「盛り上げよう」という気持ちの『点』が『輪』を描きつつある状況になってきたと思います。今の子どもたちが大人になる頃には、それがもっと強くなっていてほしいですね。

―子どもたちにとって「住みたい」、「帰りたい」小林になると良いですね。

田舎でも「成功すること」、「ちゃんと稼げること」を証明してあげたら、子どもは帰ってくると思います。「田舎は給料も低い、職もない、遊ぶところもない」と親が言っていたら絶対に帰って来ないですよね。私たち大人が、成功とまではいかなくても、仕事をある程度回し、周りのコミュニティともしっかりつながって生き生きと暮らしていれば、自然と「小林は良いところだな、帰りたいな」という気持ちになると思います。

―将来の目標は何かありますか?

「寄せ植え」のすそ野をもっと広げたいと思っています。今、栽培している植物の9割は市場出荷用で、売れ筋の商品を大量に作るという生産ラインです。それも少し残しつつ、『風の丘ガーデン』のカラーも作っていきたいので、「寄せ植え」を前面に押し出して、そのための植物をハウスで栽培したいですね。花の生産と販売の一貫経営は、簡単そうで難しいもどかしさがありますけど。

―澁田さんにとって植物の魅力とは何ですか?

植物に対する思いが強くなったのは、知らぬ間に癒されていることに気付いてからです。「あれ、増えているな」と。髪の毛です。サラリーマンをしている時は薄毛が悩みだったのですが、こちらに帰って来てからは全然気にならなくなりました。ストレスはありますが、やはり無意識に植物に癒されているおかげだと思っています。

―従業員の働く環境についてはいかがですか?

花の業界では『水かけ3年』と言われます。ただ単に水をかけるだけなら初日でできるのですが、植物の状態を見て、水の量やかけるタイミングを見極めるのに3年かかるのです。従業員には、指示されて動くだけではなく、能動的に考えて動いてほしいと思っています。

一方で、弊社が持っているたくさんの手段やリソースを活用して、将来に向けていろいろ経験させてあげたいと思っています。もしかすると、将来、花屋になるかもしれないですし(笑)。従業員とは、将来のビジョンを建設的に語り合える関係でありたいですね。

―仕事以外の経験もたくさん積めそうですね。

ここをただ働くだけの場所にしたくないと思っています。繁忙期はとても忙しいのですが、それが終われば自由な時間が取れるので、長期の旅行に行ったり、子どもたちと思い切り遊んだり、プライベートを楽しんでほしいです。それができるところが弊社の自慢です。

―この仕事を続けるモチベーションは何ですか?

花業界はずっと景気が低迷していたのですが、コロナ禍での巣ごもり需要でガーデニングが再ブームになり、業界全体が活気づいている状況です。ですから、守りの姿勢に入らず、「自分たちが本当に育てたい品種や品目を生産して、しっかり伝えていく」という目標に向かって、自分に負荷をかけることがモチベーションとなっています。ビジョンを語っていると、周りの人や機会にどんどん恵まれるので、モチベーションが下がるヒマがないですね(笑)。

―では最後に、澁田さんにとって「働く」とは?

「苦しいけど楽しむ」でしょうか。根底に園芸を楽しむ気持ちがないと、本質を見失ってしまうと思います。


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総合政策部 地方創生課

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