有限会社山之口畜産

更新日:2022年06月13日

有限会社山之口畜産 山之口 祐仁 氏

国内シェア1%の貴重な牛肉。溢れる探究心と味へのこだわり

―赤身のおいしいお肉が評判の会社です。事業の内容を教えてください。

『やまちくアン黒』という肉用牛の肥育と牛肉の販売を行っています。

牛肉はスライスから焼肉用、ステーキ、牛串、かたまり焼き、後はホルモンなどの内臓も全て自社のものです。他にも加工品で餃子とハンバーグを作っています。

―聞いているだけでおいしそうです。『やまちくアン黒』とはどのような牛なのでしょうか。

『アン黒』というのはアンガス牛と黒毛和牛を掛け合せた品種のことです。元々アメリカで保管されていた日本の和牛と、和牛の種がオーストラリアに渡りました。そして、オーストラリアの人たちが日本向けの品種改良を試みようと、現地にいたアンガス牛との交配を始めたのです。それが通称『アン黒』と呼ばれていて、弊社名の『山之口畜産』、略して『やまちく』と合わせて『やまちくアン黒』と名付けました。

『アン黒』自体は、以前より流通があったのですが、商標を取れば名前が浸透しやすいのではないかと思い、『やまちくアン黒』、『アン黒』共に商標登録しました。

―創業当時から『アン黒』を取り扱っていたのですか?

昭和40年頃、私の祖父が和牛の生産を始めて、それから父が『預託』といって牛を預かって肥育する事業に取り組みました。その時に、ある会社の社長とご縁があり、その会社が素牛(もとうし・子牛)の輸入を始めるというのがきっかけで、アン黒の肥育と販売につながりました。

―『やまちくアン黒』へのこだわりを教えてください。

「安心、安全、おいしい」お肉を作る、これに尽きます。

抗生剤やホルモン剤を一切使わずに、米ぬかや葡萄かすなど、人が食べても大丈夫な原料で作った餌を与えています。一般的に、牛の餌には抗生剤やホルモン作用のあるものが混ぜられていることが多く、それを使うのがどこか当たり前になっています。

自分たちが見えないところで作られたものは、何が入っているかわからないから不安ですよね。弊社では、安心安全を追求し、おいしくお肉を食べてもらえるよう餌からこだわっています。

自社で餌を研究して作るというところは全国でも数ヵ所しかないのですよ。

食べる人の笑顔が見たい。調べて、考えて、工夫して、牛肉のこれからを切り拓く

―畜産業を継承しようと思ったのはどんなきっかけですか?

大学生の頃までは、飲食店をやりたいと思っていました。飲食店でアルバイトをしていた時、食材に興味を持ち、その内側にある素晴らしさを引き出したいという気持ちが湧いてきました。その時、実家の牛が思い浮かび、この牛を肉にして、この肉の味をお客様に伝えていくには……というところから事業への発想がどんどん膨らんだのです。実家を継いだのは、原点にたどり着いたという感じですね。

―毎日の仕事へのモチベーションとなるものは何ですか?

探究心、でしょうか。常に24時間、牛と肉のことが頭から離れません。

「この肉をどうカットして調理したらおいしいだろうか」、「こういう肉にするためにはどういう風に餌を工夫すれば良いか」など、どんどんイメージが膨らんでいくのです。それが面白くて仕方ありません。

―飽くなき好奇心に突き動かされているということですね。

疑問に思ったことを突き詰めたい、それが私のモチベーションなのかもしれません。

スマートフォン一つで何でも調べられる今の時代、学生さんには、心に「?」がついた時、すぐ調べてその面白さを知ってほしいと思います。例えば、牛はいつももぐもぐしています。『反芻』というのですが、一度胃袋に入った食べ物をまた口に戻して消化していきます。「なぜそんなことをするのだろう」、「反芻した後どうなるのだろう」、「それがどうやって肉になるのだろう」と、次から次へとつながるので、どんどん面白くなっていくはずです。

―「面白い」が仕事につながれば、働きがいがありますね。では、従業員の働き方についてはいかがでしょう?

来年度から、高校の農業科の新卒を毎年1名~2名は採用したいと考えています。現在、弊社には60代の従業員が2名いますが、そういう経験を積んだ人と、若い力をうまく組み合わせて、さらに色々な事業を展開できたらと思っています。労働環境については、農業の現場は365日休みなしですが、交代できっちり休暇が取れるような体制づくりをして、一般企業と変わらない水準を保つようにしています。勤務中も、休憩時間はできるだけくつろいでもらいたいと思い、休憩室のリフォームも行いました。

―お話を伺っていると、将来がとても楽しみな会社です。今後の展望を教えてください。

商品が消費者の元に届くまで見届けたいという気持ちから、焼肉メインの飲食店をやりたいと思っています。今はお客様がパックで持ち帰って家庭で焼くスタイルですが、焼き方一つでおいしさはガラリと変わるので、食べてもらうところまで関われたらと思います。

牛を育てて、捌いて、料理して提供するところまでつながると良いですね。

―それでは最後に、山之口さんにとって「働く」とは?

社会貢献だと思っています。

「商売で利益を上げて、自分や従業員とその家族の生活を支えていくこと」、「地元の消費者を、自社の商品で笑顔にできる取り組みをすること」。私はこの二つを特に大切にしています。

社会に対して行ったことは、結局、全部自分に返ってきます。悪いことをすればそれなりのことが返ってくるし、自分がおいしいお肉を作って消費者を笑顔にできれば、きっとまた良い形で自分に返ってくるのではないか、そして自分が笑顔になれるのではないかと思うのです。その繰り返しが社会貢献だと思うので、これからも真摯に仕事に取り組みたいと思っています。


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