小林まちづくり株式会社

更新日:2022年06月13日

小林まちづくり株式会社 統括部長 木村 洋文 氏

「まちづくりは人づくり」。人の力を動かして、まちの力を強くする

―社名から「まちを活性化する」会社だとお察ししますが、成り立ちを教えてください。

小林の中核にもう一度商業施設を建て、そこから中心市街地を活性化させようという思いで、平成26年に設立されました。平成25年に商店街の中核商業施設が閉鎖になり、世間では、店舗の郊外化や大型化が進み、消費者の購買行動も変わり始めた時期でした。小林も例に漏れず、中心市街地が衰退の一途を辿っており、「なんとかせんといかん」という思いの小林市民、特に事業主の方と、宮崎銀行や小林市の出資を得てできた会社です。

―大勢の方の思いが詰まった会社なのですね。

小林の人口減少に危機感を持っている方が非常に多く、県外の小林出身者からも出資したいという声がたくさんあったそうです。最終的に、小林在住の41名に出資いただき、資本金5000万円を集め、TENAMU(テナム)ビル建設の運びとなりました。

―今や、多くの方々が認知する建物となっていますよね。どのような事業をされているのでしょう?

一つは、自社ビルであるTENAMUビルの管理です。ビルの1階はスーパー、2階は商工会議所などがテナントとして入り、3階から5階は賃貸マンションとなっています。その家賃収入を一番の事業にして経営をしています。

また、2階にはいろいろな世代が多目的に利用できる「市民交流スペース」があります。ちょうどTENAMUビルの建設が、小林駅舎や市庁舎の建て替えと同時期でしたので、人々の動線が点から線へつながり、そこから人の流れが生まれることを目指して事業を行っています。

―中心市街地に重点を置いた事業が主体なのですね。 他にはどんなことをされているのでしょう?

小林市や商工会議所などと一緒に、小林市全体の活性化を図るための『観光DMO』の事業を行っています。海外からのインバウンドや、市外からの旅行者を呼び込み、小林を元気にするための観光地づくりを担って「観光地域づくり法人(DMO)」に登録しています。

―具体的にはどのようなことをされているのですか?

生産者や事業者と一緒に、新しい観光や体験のメニューを作って宿泊や滞在の選択肢を増やしたり、特産品やお土産品を開発して売り込み、ブランディングをしていく、というような事業です。

―ご自身で家具店も経営されていますが、この会社で働き始めたきっかけは?

私は商店街で生まれ、地域に育てられました。高校卒業後20年近く小林を離れていて、父の病気をきっかけに戻ってきたのですが、昔の賑わいがなくなり閉じたシャッターが目立つ商店街を見て、愕然としました。そこで、「シャッターを少しでも開けたい」と思い、交流を生むスペースとしてカフェを作ったりもしました。

そして、新しいことに挑戦する人を増やしたり、若者が帰りたくなるまちを作るため、この会社で面白いことができるのではないかと思い、二足のわらじを履くことにしました。……というのは表向きの回答で(笑)。

―裏があるのですね(笑)。

私は以前、商社に勤めていて、全国でショッピングモールを作る仕事をしていたのですが、行く先々で「お前ら、まちを壊していくんだろう」と地元の方に反発を受けていました。地域性を出しながら面白いモールを作ることは難しく、限界を感じた経験のある私に、声をかけてくれたのが社長の柊崎です。

―どのような方なのですか?

自身で、全国のショッピングモールに100店舗以上のテナントがある大規模な会社を経営しています。まさか、そんな会社の社長が小林の人で、さらに小林に本社を置いて市外で小林を売り込んだりアピールをして、稼いだものを小林に還元していくという、循環型の都市経営をしていることに胸を突かれました。そんな人が横に座って「一緒に働かないか」と言われたら……断れないですよね?(笑)。

スポットライトを当てる役。やがて光の点がつながり、眩しさあふれる小林に

―大事にしていることは何ですか?

社長が常々、「まちづくりは人づくり」と言っています。まちというものは一足飛びにできるものではありません。観光地も、何かを仕掛けたらすぐに賑わうというわけではなく、継続することが将来につながるのです。ですから、今も大事にしながら、将来のビジョンを明確にしていくことを意識するようにしています。

そして、現場の方、いわゆる「プレーヤー」に光が当たり、主役になるよう、私達は裏方で支援していくというスタンスを重視して取り組んでいます。

―では、職場の環境についてはいかがですか?

仕事はあくまで生きていくための手段だと思っています。そして、やりがいや誇りも大事ですが、やはり、人間関係。誰とどのように仕事をしていくかは大事ですよね。ですから、普段から、コミュニケーションを取りやすい環境づくりは心がけています。

―どんな人を求めますか?

民間の会社ですが、市の事業も委託されていますので、民間の感覚と公共性、両方の感覚をバランス良く持っていることが大事だと思います。また、このコロナ禍で、画面越しだったり、密に接することができなかったりするからこそ、人と人をつなぐコミュニケーション能力も必要不可欠だと思います。

それから、弊社は若い人が活躍できて、いろいろなことに挑戦できる会社を目指しています。小林のあるべき未来を想像し、自ら仕事の企画や提案をして、そこへ向かってやり通す、そんな情熱のある人と一緒に働きたいですね。

―熱い思いが伝わってきます。木村さんのモチベーションは何ですか?

「今まで来なかったようなお客様が増えたよ」、「一緒に作ってくれた商品、最近よく売れるんだよ、ありがとう」などと言われたりして、生産者への経済効果が少しずつでも実感できた時は、自分のこと以上に嬉しくて、モチベーションが上がる瞬間です。まちづくりはすぐに結果が出るものではありませんからね。そして、好きなお酒(笑)。自分へのご褒美って大事ですよね。一人で飲むのも良いですけど、一緒に頑張った仲間と分かち合う、それが何よりの活力です。

―それでは最後に、「働く」とは?

「自分に期待されていること」でしょうか。「向いている、向いていない」などと、若い頃は言っていましたが、仕事というものは、得てして他人が評価することです。自分のやっていることを、もっといろいろな人に見て知ってもらいたいです。そして、期待されていることに対して、どれだけ応えられているのかというところですかね。楽しいですよね、仕事。

今がベストではなく、患者様に対するケアや、ニーズにお応えするため、その時々に“できること”と“思い”が合致して、あと100年続けば、と(笑)。

地域貢献はもちろん、雇用などの社会貢献にも努めたいです。健全に運営できて、医療や介護が守られ、職員の生活も守られて、堅実に続いていければ良いのかなと思います。今後、新館が建つような劇的変化はないかもしれませんが、今の健全な取り組みを続けていくことが一番だと思っています。


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